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春のテーマは「柳」。

柳が日本人のこころに深く分け入ったのは、朝夕の薄明のころ、その内部がことに暗く見える枝垂れの姿に異界、亜空間を感じて畏れたものと云われていました。

私たちは今もその感覚を保ちつづけながら、その空間に神を現出させていたのかもしれません。

 

春の田植えの際、予祝の祭祀として柳の枝を伐りおろし、田、池に刺し根が生えるかどうかでその年の収穫を占ったと云われております。拠水植物である柳は、豊富な水源を象徴し枝のしだれる姿が稲穂の垂れることを連想させたため、神の依り木としても用いられてきました。

 

柳は枝を泥に挿しておくだけで容易に根づく。それは、日本にある柳すべてが雄の木であり生命力の強い植物です。さらに墓の木として定められたのならばおよそ木の中で人々に独特の感情を与え、別れの哀情を一層掻き立てるための素材として、送る人も送られる人も同じ気持ちになり存在するだけで自ずと一株の哀愁が周囲に充満し、形態の上でも習性の上でも、古代の人にとって信仰の象徴あるいは祭具として最も深く生活に浸みこむ木とされてきました。

こうして日本の柳は一五〇〇年ほどの歳月を生き継いでいると伝えられております。

 

今季の縁起物の「朧月」は、旅立つ人との再会の願いが込められております。

お受けになりましたらどうぞご自宅にお飾りください。

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​月と四季

直会  蓬 茶           出会いの感謝と成長への祈りを込めて

玉串奉奠           再会の願いを込めて

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